環境問題と試験データの改竄（ざん）について

某トラックメーカーが認証試験の燃費測定で、意図的にエンジン性能を偽る不正行為があったと判断したニュースがありました。燃費試験データの改竄は過去に他の自動車メーカーでもありました。なぜ同じ業界で同じ過ちが繰り返されるのでしょうか。今日は繰り返される不正について考えてみたいと思います。

1.求められる基準が高すぎるのか？それともメーカーの能力不足なのか？

環境基準が厳しくなれば当然二酸化炭素や排気ガスの排出をできる限り低く抑えることが求められます。しかし化石燃料を燃やすことで排出されるものを抑えるには限界があるでしょう。また、試験を行ったデータを改竄しなけれならないことは会社の組織が機能していないことが考えられます。つまり、組織を運営する管理監督者（管理職や経営者）が、見過ごしている、または勝手な判断で合格にしてしまっているのであれば正常に会社組織が運営するされていないことになります。なぜ過去に同じような事件が起きているのにそれが反映されないのでしょうか。

2.根拠のない目標設定と開発能力

目標設定値が限界を超えていることが考えられます。つまり、これ以上の対策の仕様がないことです。多分目標設定値は社外であれば環境省などの官庁、社内であれば環境に関連する会社組織の上の立場の人でしょう。開発する人と目標値を決める人が異なるために、本来目標となる実測数値と第三者が決める理想数値に乖離が発生してしまうのではないでしょうか。開発する側は、現在の技術力で達成可能な目標値を決めますが、それは国や会社の上層部からすると目標値としては低いものであり、環境問題を考えると理想の数値を高い目標値として決めざるを得ないのではないでしょうか。もし、その理想目標値をクリアできなければ環境問題が解決できないことを意味しており、そのディーゼルエンジンは環境に適さないことになり、製品としての存在意義を失うことになります。そのため、その製品が存在意義を失うと会社としての経営が立ちいかなくなるため、最終的にデーターを改竄してしまうことになってしまうのではないかと想像します。

3.製品の改良だけでは立ち行かなくなった

先ほどもお伝えしたように、化石燃料を燃やして動力に変えるエンジンの二酸化炭素や排気ガスの排出を抑えることは限界があります。つまり、エンジンに改良に改良を重ねても排気ガスや二酸化炭素の排出がゼロになることは絶対にないと言っていいでしょう。それであればエンジンを捨て、新しい動力源を開発して、環境に優しいクリーンエネルギーの使用に特化したものにしなければなりません。蓄電池を使用した電気自動車や水素を使用した燃料電池です。日本人は改良することは非常に長けていると言われています。欧米で開発されたものが、日本で改良され、さらに良い製品となって品質も高まり、それが日本ブランドとして経済を牽引してきました。しかし、今の日本の経済力が落ちてきているのは、しがらみと一から開発する能力が低いことが大きな要因ではないでしょうか。しがらみとは、もし日本の車が全て電気自動車に置き換わったとしたら、自動車部品メーカーが存続できないと言われています。それは電気自動車に使用する部品点数は極端に少なくなるからです。すると電気自動車を開発させないような反対勢力が出てきます。欧米ではこのしがらみは日本に比べて少ないのではないでしょうか。

4.コストを下げることが美徳とされ、それがデータを改竄することに繋がっていないだろうか？

日本製品のコンポーネント（構成部品）は、昔から変わっていないものが多いと思います。それは低コストだからです。温故知新という四字熟語がありますが、今の日本製品は温故知古です。コンポーネントはその製品の性能を決める重要な要因ですが、20年以上前の部品を使って性能を向上することはできません。それが最終的に価格に反映されなくなり、利益の低い低価格で販売しなければ売れない悪循環に陥っているのが現状です。したがって、いかに付加価値をつけて販売するかを考えなければ、日本の経済はさらに落ち込むことになるでしょう。そのためには一から開発する力を身につけ、日本人が従来持っている改善する力を合わせることで環境に対応できるクリーンな製品と他国にマネのできない製品開発ができるのではないでしょうか。第三者が環境に対する基準を作られなくても十分対応可能な日本製品が世の中に出回ることになることを期待したいと思います。

ご一読いただき、ありがとうございました。

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