円安とコスト上昇は日本経済に良い影響を与えるのか?

円安傾向にある日本経済の中、原料のコスト上昇が価格に転化されていますが、一般的に物の需要が供給を上回れば価格が上昇し、需要が供給を下回れば価格が下がります。しかし日本では人口減少により需要が供給を上回ることは一般的に考えることができないと考えられます。今日は価格と経済成長について考えてみたいと思います。

1.日本人は価格上昇は罪悪感を持つ

商売を行う人は価格を上げることに罪悪感を感じている方が非常に多いと感じています。消費者のことを考え、価格を抑制する傾向にあります。これは消費者にとって悪いことではありませんが、実際に顧客のことを考え、企業努力により価格が抑えられています。結論から言いますとこれが経済成長の足枷になっています。この企業努力は価格維持に使われますが、従業員の給料アップに反映しているとは言えず、そのことが日本経済が30年の間成長しない理由ではないでしょうか。

2.日本経済の高度成長期の重要なステークホルダーは労働者

日本の経済が高度経済成長時に、株主総会とは名目上開催されるものであり、ステークホルダーとして企業もあまり重要視していないため、配当金も低く、その利益配分を社員、従業員が享受することができていたため、収入が増え、電化製品や車など物の需要が増えて値上がりし、製品が売れてさらに経済成長していく正のスパイラルに入っていきました。しかし、今は株主の存在が非常に高くなり、株主が企業に高い配当を求めるため、そのことが従業員、労働者への収入増加につながらなくなったことも要因の一つと考えられます。

3.日本の経済力の強さが円高に反映

円高により、日本で製造することがコストを押し上げる要因になり、生産工場は安い労働力を求めて海外にシフトしていきました。これは生産技術が海外に流出することを意味しており、過去に東南アジアの工場が大雨で水没したため、日本で再生産しようとしたらできなかったそうです。そのため、逆に東南アジアの生産担当者に日本の労働者が教えを乞うことになったことがニュースになりました。円高が将来の日本経済を弱める要因であったことも事実ではないでしょうか。

4.価格が維持され、人口が減少している日本で物の需要が増えることはないが

価格が維持され、人口が減少することは市場が縮小しているといっても過言ではありません。日本と同様に欧米各国も人口減少しています。しかし、欧米の企業は少なくとも年に一度価格改定(値上げ)を行います。これは原料価格が上昇していることも起因していますが、サプライヤーからのコンポーネントなどの部品の安定供給を図ることを考えて、サプライヤーからの価格改定の要請に応えていることもあります。また、既存製品よりコストが低く、機能が向上している新製品を顧客にお勧めし、少し高めに販売することで利益率の向上を図っています。ここが日本企業と異なるところです。毎年少しでも値段を上げていけば、10年単位で考えるとかなりの値上げになります。例えば、毎年3%値上げすると想定して、これを30年続けると、計算上1.03の30乗で答えは2.43です。価格は30年前の2.43倍になっています。

5.これからも日本が経済成長しなければ

実際に中国に流れていた下請けの仕事が、徐々に日本に回帰してきています。生産現場はコストの安いところにシフトしていきます。円安になると、日本での生産コストが低下しますから、日本に工場が戻り、雇用が創出されます。現在海外から輸入しているものはコスト高になっていますが、日本人は過去の歴史からリスクを回避することに長けています。円安になることで不利益になることは避ける、例えば生活に必要なエネルギーは風力や太陽光などの再生可能エネルギーを大々的に使用できるように進んでいくでしょう。今は円安で我々の生活に影響が出てきていますが、長い目で見れば、今の状態は日本の将来にとって良い場合も考えられるのではないでしょうか。

まとめ

  1. 価格上昇は正しい経済活動。罪悪感を持つ必要はなし。
  2. 円高が将来の日本の経済に(悪い?)影響を与えたように、円安も日本の将来に(良い?)影響を与える可能性は十分にある。
  3. 日本人は過去の歴史から、さまざまな困難を乗り越える力がある。

ご一読いただき、ありがとうございました。

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