職人不足の解消が日本の将来を決める?

日本の建設業では、重機や建設機械を操作する熟練したオペレータがいないとできない工事があり、人件費が高騰していると聞きます。製造業では過去に熟練工が工作機械を直接扱い、加工する方が、NC工作機械で自動化で加工するより加工精度が高いため、精度を必要とする部品は熟練工が付加価値を付けて加工部品を販売することができました。特にドイツではこのような熟練工はマイスターと言われ、現場で非常に強い権限を持っていました。

しかし、今ドイツでは現場にマイスターと言われる人はいません。それは生産能力を高め、コストを低減するために、加工精度の高い工作機械を導入しました。現在はNC工作機械での加工精度は熟練工が加工する精度とほぼ同じだそうです。

企業はコスト競争力を上げるために、マイスターなどの熟練工から工作機械に変わりました。

つまり、熟練工などの職人の人件費が高いため、企業は人件費を抑えるために自動化せざるを得なかったわけですね。

同様に、建設業界も熟練のオペレータ不足を解消するために、建設機械もIOT化し、ドローンを使用して自動計測し、AIが自動で工事内容を瞬時に決定し、初心者オペレータでも熟練のオペレータと同じ工事ができるようになっています。

過去にホワイトカラーと言われるサラリーマンは、経験がものをいう時代でした。先輩社員や上司が今までの経験を部下、後輩に業務内容や経験を受け継いでいました。

しかし、インターネットによる情報が共有されることで、過去の経験が陳腐化してしまいました。そして、パソコンなどのIT機器を使いこなせない古参社員は、リストラの対象にされました。

これからは現場にも人に変わる装置で作業を行う職人不足が確実に解消されていくことになるでしょう。

日本の製造業は20年前と比較すると、作業に係る人材は約3割減りましたが、売上が変わっていないそうです。つまり、生産性は向上しているということになります。

生産性が向上している分、企業の利益が増えますが、日本の企業は利益を内部留保するため、自己資本比率が高く、従業員の給与所得が増えない状況が続いています。

まとめ

  1. 仕事の経験はすでに陳腐化し、定常的な仕事はIT機器が行なっている。
  2. 物を作る作業は、人から機械に代わり、企業はコスト競争力を上げている。
  3. しかし、コスト競争力で得た利益は企業の内部留保になり、従業員の給料に反映されていないので日本の経済が成長しない。

企業が内部留保をして、自己資本比率が海外の企業に比べて大きいのは、将来リーマンショックのような事態が起きても、耐えられる体質にしておくと言われています。まさに「備えあれば憂いなし」ですね。

でもこれが日本の経済に悪影響を及ぼしているわけですから、「本末転倒」ですね。

ご一読いただき、ありがとうございました。

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