日本郵政グループの正社員と非正規社員の労働条件に関しては、2020年の最高裁判決で「正社員と非正社員の間には不合理な待遇差があり、労働契約法20条に違反する」と認定された事件で、正社員と非正社員との間にある待遇差を正社員に合わせるのではなく、非正社員に合わせることで解消していくというニュースに驚きました。このニュースを踏まえて私の意見をお伝えします。
本来であれば、正社員に合わせて非正社員の待遇を改善するのが筋ではないか?と思われた方がほとんどではないでしょうか。
同一労働同一賃金の原則を逆手に取ったやり方です。
以前、あるファミリーレストランの店長は会社から管理職だから、残業手当は出ないと言われ、実際はかなりの残業をしていたので待遇改善のため、会社側に残業手当を出すよう裁判に訴えた事件がありました。最終的には訴えた店長は勝訴しましたが、会社から、あなたは今日から管理職ではないため、管理職手当は剥奪し、残業はしなくていいです。と言われ、余計に収入が減ってしまうということがありました。
日本では名ばかり管理職が横行していて、従業員の半数が管理職という会社もあります。つまり肩書きがすでに形骸化してしまっています。当然労働組合に入っていませんから、残業代はつきません。しかし、実際はサービス残業をしているのが実情ではないでしょうか?蛇足ですが私も前の会社で昇格して組織の責任者(管理職)になったときに、管理職手当より、残業手当の方が多かったので、収入が減ってしまったことがありました。
なぜ残業をしなければならないのか?
工場や生産現場で作業をされている労働者の方は、受注増に伴う一時的な残業が必要なことがありますが、ホワイトカラーと言われる人が(サービス)残業をしなければならないのは、
- 本来やるべき仕事をやらずに、余分なことをしている。
- 組織を統括する管理職が部下に振り分け与える仕事量を把握していないために、非効率になっている。
- 管理職が部下の能力を超えた仕事をさせている。
私は日本企業は特に上記1の余分なことをしている割合が大きいのではないかと感じています。
海外の企業は、それぞれの従業員にジョブディスクリプション(職務記述書)というものがあり、明確にその個人の仕事内容が記載されています。
そのため、極端なことを言えば、上司から職務記述書に記載されていない業務を命令されたら、拒否できるわけです。
ではこの職務記述書を採用していない日本企業が導入したら良いではないか?と思われますが、日本人の性格から上司の命令には逆らえないので、上手く行かないのかもしれませんね。
ジョブディスクリプションは、仕事の範囲と責任が明確に記載されているため、決裁事項を超えない限り、個人の判断で仕事を行うことができます。そのため、日本の企業のようにわざわざ上司にお伺いを立てる必要がないため、即断即決でき、業務効率が高くなるのだと思われます。
日本企業はこの仕事の範囲と責任が明確ではないため、例えば仕事のできる人が、仕事のできない人の仕事を手伝ったりして、良い意味での協力関係ができていたと思います。
それから、海外の企業は日本の企業のようなゼネラリストがほとんどいません。ゼネラリストは色々な部署を経験して大まかな業務内容を理解して、昇格していきますが、海外の企業はスペシャリストを育てます。つまり経理であれば、ずっと経理、営業であれば、ずっと営業です。
そのためゼネラリストが他の会社で通用することがほとんどなく、仮にあったとしても現状の会社より待遇の悪い会社に転職せざるを得ないと思われます。
スペシャリストは転職も盛んに行われます。会社の中で昇格して待遇を上げていくのではなく、自分の能力が発揮でき、収入や労働条件が良ければどんどん転職していきます。
つまり、転職して自分自身で待遇を改善していると言っていいですね。
最初に話を戻しますが、日本郵政の待遇を悪い方に合わせる記事を読んだ時、これはこの会社が初めから余分な人員を抱えているのだからと感じました。つまり、言い方が良くないことを承知で書きますと業務効率が悪いので、その分人数合わせで対応していると….。
政府は、「成長と分配の好循環」を国民に訴えていますが、それを行うために働く人々一人一人の業務効率を上げることを行わない限り、難しいのではないかと思いました。
そして我々従業員、労働者は常に専門性を磨き、誰にも負けないスキルを身につけることで自分の付加価値を上げていくしか収入を上げていく方法はないのではないかと感じています。
ご一読いただき、ありがとうございました。
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